両足の人工関節手術で使える支援制度【2026年版】医療費の上限・障害年金・手帳・介護保険

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庭の見える病院の明るい廊下に手すりと歩行器、奥を歩く人

両足の股関節や膝関節を人工関節にする手術は、入院やリハビリも含めて医療費が高くなりがちです。でも、使える制度を知っておくと、お金の心配はかなり小さくできます。

この記事は2025年1月に書いたものですが、2026年8月から高額療養費の上限が変わったことなどを受けて、2026年9月時点の情報で全面的に書き直しました。

この記事でわかること
  • 医療費の自己負担を抑える「高額療養費」(2026年8月の見直し後)
  • 人工関節で受けられる可能性がある「障害年金」
  • 身体障害者手帳・介護保険・傷病手当金・医療費控除
  • 手術の前にやっておきたいことのチェックリスト

※制度の細かい条件は、加入している健康保険や年齢・収入によって変わります。最終的には、加入先の健康保険、年金事務所、市区町村の窓口、病院の医療ソーシャルワーカーなどで確認してください。

まず知っておきたい:医療費は「1か月の上限」がある

人工関節の手術は健康保険が使えるので、窓口での負担は原則1〜3割です。それでも手術と入院で医療費が大きくなるため、1割や3割でもかなりの金額になります。

そこで使えるのが高額療養費制度です。1か月(1日〜月末)に払った医療費が上限を超えたら、超えた分が戻ってくる(または最初から払わなくてよい)仕組みです。

2026年8月から上限が変わりました(69歳以下)

2026年8月の診療分から、1か月の上限額が引き上げられました。69歳以下の方の上限は次のとおりです。

年収の目安2026年7月まで2026年8月から
約1,160万円〜252,600円+1%270,300円+1%
約770〜約1,160万円167,400円+1%179,100円+1%
約370〜約770万円80,100円+1%85,800円+1%
〜約370万円57,600円61,500円
住民税非課税35,400円36,900円

「+1%」は、医療費が一定額を超えた部分の1%が上乗せされるという意味です。例えば年収約370〜770万円の方で、1か月の医療費(10割)が100万円かかった場合、自己負担の上限は約92,940円になります。

70歳以上の方は、上限の区分や金額が別に決められています。ご自分の区分は、加入している健康保険に確認するのが確実です。

「多数回該当」と、新しくできた「年間上限」

  • 多数回該当:直近12か月で3回以上上限に達すると、4回目からは上限がさらに下がります(年収約370〜770万円の方は44,400円。この金額は据え置きです)。
  • 年間上限(2026年8月に新設):8月から翌年7月までの1年間の自己負担の合計にも上限ができました。年収約370〜770万円の方は年53万円です。長く治療が続く方の負担が重くなりすぎないようにする仕組みです。

なお、2027年8月には所得区分をさらに細かく分ける見直しも予定されています。

両足の手術なら「月」の数え方に注意

高額療養費は暦の月(1日〜末日)ごとに計算します。両足を別々の時期に手術する場合や、入院が月をまたぐ場合は、それぞれの月で上限までの負担が発生します。

手術の日程は体の状態を最優先に決めるものですが、負担の見通しを立てるために、どの月にどれくらいかかりそうかを病院の窓口で聞いておくと安心です。

問題

両足を別々の月に手術したら、高額療養費の上限は、2回分まとめて「1か月分」の上限で済む?

答え

いいえ。高額療養費は暦の月(1日〜末日)ごとに計算するので、それぞれの月で上限までの負担が発生します。入院が月をまたぐ場合も同じです。

窓口での支払いを最初から抑える方法

マイナ保険証で受診すれば、「限度額適用認定証」がなくても、窓口での支払いが最初から上限までになります。

マイナ保険証を使わない方(資格確認書で受診する方など)は、手術の前に加入先の健康保険で限度額適用認定証を申請しておきましょう。これがないと、いったん3割などで全額を払って、あとから払い戻しを受けることになります。

また、会社の健康保険組合によっては、上限よりさらに負担が少なくなる付加給付がある場合もあります。一度確認してみてください。

障害年金:人工関節は原則「3級」

障害年金の認定基準では、股関節・膝関節・足関節に人工関節(人工骨頭)を入れた場合、原則として3級と認定されます。片足でも両足でも基本は3級で、関節の動きや日常生活への影響が大きい場合は、それより上の等級になることもあります。

大事なのは「初診日にどの年金に入っていたか」

3級があるのは障害厚生年金だけです。そのため、次のようになります。

初診日(最初に病院にかかった日)の加入状況人工関節で受けられる可能性
会社員・公務員など(厚生年金)障害厚生年金3級の対象になる可能性があります
自営業・無職など(国民年金のみ)障害基礎年金は1級・2級のみのため、人工関節だけでは対象になりにくいです

このほか、初診日の前日までに年金保険料をきちんと納めていること(納付要件)も必要です。

いつから、いくら?

  • 障害認定日:ふつうは初診日から1年6か月後ですが、その前に人工関節を入れた場合は、人工関節を入れた日が障害認定日になります。
  • 金額:障害厚生年金3級は、働いていたときの給与などで決まります。少ない場合でも最低保障額があり、2026年度は年635,500円です(昭和31年4月1日以前生まれの方は633,700円)。

障害年金は、年齢や老齢年金の受け取り方などによって請求できるかどうかが変わる場合があります。初診日や年金の加入記録がはっきりしないときも含めて、まずは年金事務所か、障害年金にくわしい社会保険労務士に相談するのがおすすめです。

身体障害者手帳:手術後の関節の状態で判定

以前は、股関節・膝関節を人工関節にすると一律で4級でした。しかし2014年4月からは、手術後、状態が落ち着いた時点の関節の動きなどで判定する仕組みに変わっています。

  • 股関節・膝関節:4級・5級・7級、または非該当
  • 足関節:5級・6級・7級、または非該当

手術がうまくいって動きがよくなるほど、手帳の対象になりにくい、ということでもあります。手帳があると税の控除や公共料金の割引などが受けられる場合があるので、対象になりそうかは主治医や市区町村の障害福祉の窓口に相談してみてください。

介護保険:40〜64歳でも使える場合があります

介護保険は65歳以上の方が対象ですが、40〜64歳の方でも「特定疾病」が原因なら使えます。その特定疾病の中に、「両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症」が入っています。

介護保険は65歳からだと思ってた! 40〜64歳でも、特定疾病が原因なら使えるんだね。

要介護・要支援の認定を受けると、手すりの取り付けや段差をなくす住宅改修、歩行器などの福祉用具、デイケアでのリハビリなどが1〜3割の負担で使えます。退院後の生活に向けて、早めに市区町村の介護保険の窓口や地域包括支援センターに相談しておくとスムーズです。

そのほかに確認したい制度

  • 傷病手当金(会社の健康保険の方):病気やけがで仕事を休み、給与が出ないときに、標準報酬日額の3分の2ほどが支給されます。支給期間は通算で1年6か月です。国民健康保険には原則ありません。
  • 医療費控除:1年間の医療費が10万円(所得が200万円未満の方は所得の5%)を超えたら、確定申告で税金が戻る場合があります。高額療養費などで戻ったお金は差し引いて計算します。
  • 高額医療・高額介護合算療養費:同じ世帯で医療と介護の両方に自己負担がある場合、1年間の合計が上限を超えると払い戻しがあります。
  • 民間の医療保険:手術給付金や入院給付金の対象になっていることがあります。保険証券を確認してみてください。

手術の前にやっておきたいことチェックリスト

  • マイナ保険証が使えるか確認する(使わない場合は限度額適用認定証を申請)
  • 加入している健康保険に、付加給付があるか聞いておく
  • 病院の窓口で、月ごとの費用の見通しを聞いておく
  • 最初に病院にかかった日(初診日)と、そのとき入っていた年金を確認しておく
  • 会社員の方は、傷病手当金の手続きを会社に確認する
  • 退院後の生活に向けて、介護保険や住宅改修を相談しておく
  • 医療費の領収書は、確定申告用にまとめて保管する

病院には、制度の使い方を一緒に考えてくれる医療ソーシャルワーカーがいることも多いです。「どの制度が使えそうか」を相談するだけでも、手続きの見通しがぐっと立てやすくなりますよ。

まとめ

両足の人工関節手術では、高額療養費で医療費の負担を抑え、そのうえで障害年金・身体障害者手帳・介護保険などの対象になるかを確認するのが基本の流れです。

2026年8月に高額療養費の上限が変わり、年間上限も新しくできました。制度は毎年のように少しずつ変わるので、手術の前に一度、加入先や窓口で最新の内容を確認しておきましょう。

※この記事は2026年9月30日時点の情報をもとにまとめています。個別の条件によって結果は変わるため、正確な内容は各窓口で確認してください。

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