10月9日はノーベル平和賞の発表日。ノーベル賞は発表の日ではなく「1年がかり」で決まっていた、という小さな発見

今週は、ノーベル賞の週です。10月5日の生理学・医学賞から、毎日のように夕方のニュースで発表が流れていて、今日10月9日(金)は平和賞の番。現地の11時、日本時間に直すと18時に、ノルウェーのオスロにあるノルウェー・ノーベル研究所で発表されます。

正直に言うと、ノーベル賞で「この場面を覚えている」というのは、特にないんです。でも、日本の学者が受賞したというニュースが流れると、やっぱり嬉しい! じゃあ、その賞はそもそもどうやって決まっているんだろう? と気になって、ノーベル財団の説明を調べてみました。

わかったのは、受賞者は発表の日に急に決まるのではなく、前の年の秋から1年がかりで選ばれているということでした。

2026年の発表の日程(日本時間の目安)

ノーベル財団によると、2026年の発表は10月5日から12日まで。部門ごとの日程と現地の時刻(中央ヨーロッパの夏時間)は次のとおりです。いまの時期は日本との時差が7時間なので、表の右の列は、現地の時刻に7時間を足して出した日本時間です。

日付部門現地の時刻日本時間(7時間を足して計算)
10月5日(月)生理学・医学賞11時30分より早くはない18時30分より早くはない
10月6日(火)物理学賞11時45分より早くはない18時45分より早くはない
10月7日(水)化学賞11時45分より早くはない18時45分より早くはない
10月8日(木)文学賞13時より早くはない20時より早くはない
10月9日(金)平和賞11時18時
10月12日(月)経済学賞11時45分より早くはない18時45分より早くはない

ノーベル財団の日程では、平和賞のほかの部門に「この時刻より早くはない(at the earliest)」と書かれています。時刻ちょうどに発表されるとは限らない、ということです。平和賞だけは、この言葉が付かず「11時」と書かれていました。

賞の決まり方:推薦から発表まで

ノーベル賞は、だれでも候補者を推薦できるわけではありません。物理学賞を例にすると、選考する委員会が前の年の9月に、大学の教授やこれまでの受賞者など、決められた人たちに推薦の依頼を送ります。推薦の締め切りは1月31日です。

集まった推薦をもとに、委員会が専門家の意見も聞きながら、何か月もかけて候補を絞り込みます。そして10月はじめ、委員会の案をもとに、選考する機関の会議で多数決の投票をして受賞者が決まり、そのあと発表されます。

  1. 前の年の9月委員会が、決められた人たちに推薦の依頼を送る
  2. 1月31日推薦の締め切り
  3. 2月〜夏委員会が専門家の意見を聞きながら、候補を絞り込む
  4. 10月はじめ多数決の投票で決まり、そのあと発表
  5. 12月10日授賞式(ストックホルムとオスロ)

ちなみに、だれが推薦されたかは50年たつまで公開されません。ニュースで「有力候補」と紹介されるのは、報道機関などの予想で、ノーベル財団が出した候補者の一覧ではないんですね。

平和賞だけは、ノルウェーで選ばれる

ノーベル賞は、どの部門もスウェーデンで選ばれていると思いがちです。でも、ひとつだけ違う部門があります。

問題

今日発表される平和賞。受賞者を選ぶのは、どこの国の人たち?

答え

ノルウェー。ノルウェーの国会が選んだ5人の「ノルウェー・ノーベル委員会」が選び、発表も授賞式もオスロで行われます。

ほかの部門は、スウェーデンの機関が選びます。どこが選ぶかは、アルフレッド・ノーベルの遺言で決められていました。

どこが選ぶ?
  • 物理学賞・化学賞:スウェーデン王立科学アカデミー
  • 生理学・医学賞:カロリンスカ研究所のノーベル会議
  • 文学賞:スウェーデン・アカデミー
  • 平和賞:ノルウェー・ノーベル委員会(ノルウェーの国会が選んだ5人)
  • 経済学賞:スウェーデン王立科学アカデミー(遺言にはなく、1968年にスウェーデンの中央銀行がつくった賞。1969年から)

平和賞の委員会は、できるだけ全員の意見がそろう形で決めることを目指していて、どうしてもそろわないときに多数決にするそうです。12月10日の授賞式も、ほかの部門はストックホルム、平和賞はオスロと、別々の街で開かれます。

まとめ

ノーベル賞は、前の年の9月の推薦の依頼から始まり、1月31日の締め切り、何か月もの絞り込みを経て、10月の投票で決まる、1年がかりの賞でした。推薦された人の名前は50年公開されないので、発表の前の「有力候補」はあくまで予想です。そして今日発表される平和賞だけは、ノルウェーで選ばれています。

今日の18時、オスロからの発表を「1年がかりの選考の、最後の瞬間なんだな」と思いながら見てみるのはいかがでしょうか?

※2026年10月8日時点の情報です。日本時間は、現地の時刻に7時間を足して出したものです。

参考にした情報